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にっぽん細見

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2003年9月

第21回


回転ドア


東京・六本木に「六本木ヒルズ」が出現した。
テレビ局が都心の巨大な「街」の核になるケースが目立つ。
六本木ヒルズにはテレビ朝日が移転した。
どの街も、ビルの谷間で方向感覚がなくなり、迷子になる。
入り口を探すのが大変だ。

 回転ドアが、どうも苦手だ。最初に出くわしたのは海外だったと思う。まず、自動で回っているのか、手で押して動かすのか分からなかった。
 入るタイミングがつかめない。一人で入るのは不安なので、誰かが入った直後に、同じ仕切りの中に飛び込んだ。怪訝な顔をされた。どうやら、回転ドアは一人で入るものらしい。
 ドアから離れる時も迷う。次の人のため、特に後続が女性だった場合は、ドアを押して回転を持続させなければならないのか。普通のドアならレール1本の面積ですむものを、回転ドアは何でこんなにでっかくて、ややこしいの、と恨んでしまう。
 回転ドアは身体が不自由な人にとっても、やっかいなものだ。とりわけ、車椅子では入りにくい。本人だけでなく、サポートもしにくい。バリアフリーを求める福祉関係者からも、たびたび指摘されている。

 事故の発生も多いのではないだろうか。図体がでっかいだけに、故障も起きやすい。「地方自治の新拠点」として新築されたある新県庁舎の回転ドアが、華々しいスタートから3日目に壊れた。スーパーでは子どもがけがをする事故も報告されている。
 回転ドアは北欧で発達したという。厳しい気候から、室内の温度を守るのに役立つ。常時、室内外がドアで仕切られているため、空調効率がいいそうだ。

 設置費用は高額だが、空調に必要な電気代は激減するという。冷蔵庫を何回も開け閉めすれば、電気代がかさむことから、この理屈は理解できる。ビルの所有者にとって、初期投資よりもメンテナンス費用の削減が重要だ。ここでも経済効率が優先している。
 回転ドアの弱点を、業者もよく分かっている。「使い勝手向上」を目指して、開発競争が激しくなっているとう。ビル火災などの災害時には、両開きのドアに切り替えられる回転ドアも登場している。

 ビルの入り口で、またも回転ドアにたじろいだ。ビルの冷房を守るために回転ドアにすべきかどうか、そんなことを考えるまでもなく、玄関の隅にひっそりと設置されていた手押しのドアに足が向いていた。


小 橋 繁 好  Shigeyoshi KOBASHI
(テレビ局エグゼグティブプロデューサー)

1946年、岡山市生まれ。
70年、新聞社に入社し社会部記者として事件、司法などを担当。現在、テレビ局で報道と番組制作を担当している。

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